【日大東北聖地へ・18年ぶりV(下)】攻守堅実、さらに強く
「これからが本当に強くならなければならない」。日大東北が劇的なサヨナラで福島大会優勝を決めた直後のインタビュー。興奮冷めやらぬ球場で宗像忠典監督は18年ぶりとなる甲子園での戦いに視線を向けた。
日大東北の夏の甲子園の戦績は1勝7敗。唯一の白星は1990(平成2)年の第72回大会までさかのぼる。前回出場した2003年の第85回大会は1回戦で涙をのみ、県勢としても9年連続初戦敗退となった。全国の強豪に勝つ難しさをチームで誰よりも知っているのが、両大会で指揮を執っていた宗像監督だ。
当時から歳月が流れ、本県高校野球の勢力図は変わった。聖光学院が「絶対王者」として君臨し、夏の甲子園で県勢最多の通算19勝を挙げている。日大東北は13年の第95回大会から昨年の代替大会まで、夏は聖光学院だけに敗れ続けてきた。
そのライバルが準々決勝で姿を消した今大会。6試合3失策の堅実な守備で隙を与えず、聖光学院のお株を奪うかのような粘りと試合巧者ぶりを見せた。準決勝の福島商戦は盗塁を絡めて揺さぶり、相手のミスに乗して畳み掛ける攻撃を展開。決勝の光南戦は6犠打で着実に走者を進める野球を徹底し、中盤から終盤に勝負強さを発揮した。
大会直前に宗像監督から今夏限りでの勇退を告げられ、「絶対に甲子園に連れて行く」と結束を強めたナイン。決勝翌日から2日間休養し、台風が通過する28日から練習を再開する。甲子園開幕は8月9日。さらなる成長を遂げ、名将とともに旋風を巻き起こす。