昌平・前田が初完封、鉄壁の誉れ いわき光洋に快勝

 
【いわき光洋―東日大昌平】完封した東日大昌平の先発前田=ヨーク開成山スタジアム

 第104回全国高校野球選手権福島大会は第9日の23日、ヨーク開成山スタジアム(郡山市)などで3試合が行われ、準々決勝では第1シード聖光学院が9―5で昨夏の王者日大東北に、第4シード東日大昌平は5―0で第5シードいわき光洋にそれぞれ勝利した。4回戦では第6シード学法福島が、相馬に2―0で競り勝った。第10日の24日は、いわきグリーンスタジアム(いわき市)で準々決勝2試合が行われる。

第104回全国高校野球選手権福島大会

 【評】東日大昌平は投打がかみ合った。初回、佐藤の適時打と会川のスクイズで2点を先制。5回は佐藤からの4連打で2点を奪い、引き離した。先発前田は7回まで一度も得点圏に走者を許さず、11奪三振で完封した。いわき光洋は散発4安打と打線が沈黙。8、9回の好機では、後続が倒れた。(熊田紗妃)

 前田「いいリズムで投げられた」

 昨秋以来の先発マウンドで高校初完封を成し遂げ、東日大昌平の投手陣の層の厚さを大いにアピールした。105球を投げ抜いた東日大昌平の前田陸(3年)は「持ち味のピッチングを貫くことができた。仲間の攻撃の勢いを保ちながら、いいリズムで投げられた」と胸を張った。

 「準々決勝は託した」。試合の前日、伊藤博康監督から告げられた。公式戦の先発登板は昨年秋の県大会4回戦で務めて以来。マウンドに立つと、大勢の観客の視線が緊張感を高めた。

 東日大昌平の投手陣では平均145キロの直球を誇るエース右腕草野陽斗(同)が注目を集めているが、「チームを勝たせられるのは草野だけじゃない」と前田。切れのあるスライダーと低めの直球で6イニングを三者凡退に抑えた。「これで、準決勝のマウンドに草野を立たせてあげられる」と同級生を思いやった。

 尚英中(新地町)時代に伊藤監督から「一緒に甲子園を目指さないか」と誘われ、東日大昌平の門をたたいた。ピンチの時はグラブに刻んだ「不撓(ふとう)不屈」という刺しゅうを見つめ、闘志を燃やす。

 準決勝の相手は第1シード聖光学院。「一戦必勝で甲子園に行く」。不撓不屈の精神で春の東北王者に挑む。(阿部二千翔)

 光洋、次こそベスト4

 「シード校らしい試合ができなくて悔しい」。いわき光洋主将の鈴木佑吾(3年)は散発4安打に終わった結果に唇をかんだ。

 いわき支部同士の対決。東日大昌平には春の支部予選決勝で勝利していたが、相手投手を最後まで捉えられず「夏の大会はやっぱり独特。うまくいかなかった」。試合終了後、ロッカールームで涙があふれてきた。

 鈴木天馬(同)、鈴木拓斗(同)とは、ともに主将として3人でチームをまとめてきた。「2人のおかげで成長できた」と感謝する。小学3年から始めた野球は高校で一区切りを付ける。「私立校の壁を突破して甲子園を目指してほしい」。夢を後輩に託した。

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