聖光杉山、スライダー狙って一発! 捕手の自負、読んだ配球

 
【聖光学院―仙台育英】4回表聖光学院1死、右越えに本塁打を放つ杉山

 狙い通りのスライダーを完璧に捉えた。打球は高々と右翼方向へ。四回一死、聖光学院の杉山由朗(3年)は「入ってくれー」と願いながら駆け出し、球場のどよめきで本塁打と分かると、知らぬ間に腕を高く掲げていた。

 2点を追う第2打席。捕手の杉山は頭をフル回転させ、「次はスライダーだ」と相手バッテリーの心理を読んだ。「少しはチームに流れを持ってこれたかな」と、自身公式戦初本塁打を振り返る。1点差に迫る一撃に、ベンチもスタンドもこの日一番の盛り上がりを見せた。

 杉山は中学まで愛知県で過ごし、親元を離れて聖光学院の門をたたいた。入学当初は周囲の野球に対する熱量の大きさについていくことができず、苦しんだ。ある時、先輩たちも同じ悩みを抱えていたことを知ると心が軽くなったという。「なにも成果なしでは愛知に帰れない」と奮起。血のにじむような努力を重ね、正捕手まで上り詰めた。

 この日、両親も観戦していたという特別な大一番で、値千金の本塁打を放った。最高の親孝行の一打。ホームランボールは両親に渡すつもりだ。「このチームでやれてよかった。信念を持って最後までやりきった」と3年間を振り返った杉山。今後も野球を続けるという扇の要は、すがすがしい表情で夢の舞台を後にした。(南哲哉)

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