企業など「ご褒美」用意  運動不足解消へ、体力・運動能力調査

 

 スポーツ庁は7日、体育の日を前に、2017年度体力・運動能力調査の結果を公表した。体力テストの結果を点数化した合計点は、70代は男女ともに調査開始以降の最高を更新し、高齢者の体力の充実ぶりが目立った。一方、女性の運動実施率は中学生から40代にかけて低迷し、課題が浮上した。

 調査では、高齢者の体力が過去最高水準となった一方、30~40代の成績の伸び悩み傾向が見られた。仕事や子育てに追われ、運動の時間が取りづらいのが一因とみられる。忙しい人でも運動不足を解消して健康に過ごせるよう、企業や自治体は「ご褒美」を用意するなどして、日常生活の中で積極的に歩くことを促している。

 電気工事業の大槻電設工業(福島市)は自転車通勤を奨励。車通勤と同額の通勤手当を支給。定年を迎えた60歳の社員が再雇用で働く場合、脳ドックの検診費用を全額補助している。

 三本杉ジオテック(福島市)はバランスボールに座るデスクワークを試験導入したほか、職場に卓球台を置いて運動を促すなど、社員の健康増進を目的に環境整備を進めている。

 県は県民の健康づくりをポイント化する「ふくしま健民パスポート事業」を展開。歩数計などの機能を備えたスマートフォン向けアプリ「ふくしま健民アプリ」を制作。県内八つの観光コースを疑似的に巡ることができる機能などで健康づくりを後押し。歩数に応じてたまるポイントによる特典も設けている。

 サントリーホールディングスは16年、グループ会社の8千人対象に「ヘルスマイレージ」制度を始めた。スマートフォンの歩数計アプリを利用すると、歩数に応じてポイントが入る。「階段を利用する」など各自が定めた目標を達成してもポイントがたまり商品や家電と交換できる仕組みだ。

 健康計測機器メーカーのタニタは今年1月、社員証を一新し活動量計と一体化。社員の名倉麻衣さん(36)は「常に持ち歩くようになった。1日1万歩を目標に、歩数が少ない日は遠回りで帰宅している」と話す。