「脈活」「筋活」で健康に 福島で県民シンポ

 
「コロナ禍を経て、福島県が全国に誇れる健康寿命県になるために」をテーマに意見を交わしたパネル討論。(右から)鎌田氏、竹之下氏、内堀知事、中川社長=23日、福島市

 福島民友新聞社は23日、福島市で県民の健康を考える「めざせ『健康寿命』日本一! 県民健康シンポジウム2023」を開いた。長野県で先進的な健康づくりの取り組みを進めてきた諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が基調講演し、健康長寿実現のために、病気や認知症につながる血管の老化を防ぐ「脈活」や、筋肉を蓄えて健康的生活を送る「筋活」などを提案。「誰かがやり始めなければ福島を健康長寿日本一にはできない」と述べ、一人一人が実践することの大切さを訴えた。

 本県は、厚生労働省の調査で2020年の男性の平均寿命が80.60歳で全国45位、女性は86.81歳で46位と低迷。介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」も19年の調査で男性が72.28歳で35位、女性は75.37歳で30位と下位にとどまる。健康指標の一つである、特定健診でメタボリック症候群と診断された県民の割合も全国でワースト4位と各種健康指標の改善が急務となっている。

 鎌田氏は講演で血管の若さや筋肉を保つために野菜の摂取量を増やすことや隙間時間にできる運動の有効性などを指摘。「おじいちゃん、おばあちゃんがやり始めれば息子や孫も意識が変わる。自分は関係ないと思わず、自分からやり始めることが重要」と語った。筋力を維持するための「鎌田式」トレーニング法なども紹介した。

 福島民友新聞社の中川俊哉社長が司会を務めたパネル討論では、鎌田氏に加え内堀雅雄知事、福島医大の竹之下誠一理事長・学長が新型コロナウイルス禍を経た県内医療や健康長寿県となるため必要なことについて意見を交わした。

 内堀知事は、健康づくりのキーワードとして「共感」「協働」と、ファッションデザイナーのコシノジュンコさんが話した「きょうが一番若い日だから」という言葉を挙げ「健康づくりの輪を広げ、ともに実践する。何を始めるにも遅いなんてことはない」と呼びかけた。竹之下氏は、健康寿命延伸を目指すには「まず病気のことを知り、自分の体を正しく知ることが大事」と指摘。鎌田氏は、県内にはコロナ禍や東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響がまだ残っているとし「体の健康や心の健康だけではなく、社会のつながりを再構築していくことも重要だ」と語った。