【健康長寿・禁煙(3)】吸わないメリット大 匂い鮮明に、節約効果も

 
子どもを連れて散歩する記者。地面の落ち葉などから、喫煙していた頃は分からなかった晩秋の薫りを感じる=福島市・荒川桜づつみ河川公園

 愛煙歴20年近くの記者(39)が禁煙を始めて約1カ月。この間、周囲の匂いからもたらされる情報量が喫煙していた頃とは格段に違うことに驚くことがある。

 福島市の川沿いの公園で、地面に敷き詰められた落ち葉の上を歩いていると、土と植物が混じり合った香りが立ち上ってくるのが分かる。バーベキューをしているのか、河川敷の方からはおいしそうな香り。晩秋という季節がもたらす印象がより鮮明になった感じで、予想していなかった禁煙のメリットだ。

 食べ物もおいしく

 食べ物もおいしく感じるようになった。「体重が増えるのが、禁煙治療の副作用」。禁煙外来の最初の診察で、大原綜合病院(福島市)の石橋敏幸副院長(63)からそう指摘されていた。中年太りは禁煙を始める前からの課題ではあるが、今のところ禁煙後の大幅な体重増加はない。

 まだ実感はないが、禁煙による節約効果はメリットとして小さくないだろう。たばこを1箱500円、1日1箱吸うと仮定すると、禁煙すると2カ月で約3万円、5年で約91万円、15年で約274万円節約できる。「節約できた分を海外旅行費用に充てよう」と、すでに妻からは当てにされている。

 禁煙外来の体験ルポを書いたことで、それなりに反響があった。「須田さん、禁煙してたんですか」。喫煙者の後輩記者は「そんなこっそり始めるなんて...」と不満そうだった。今回、可能な限り周囲には伝えずに禁煙を始めた。理由は一つ、もし禁煙に失敗したら格好悪いと思ったからだ。いかに自信がなかったか、このことからも分かる。

 予想に反して順調に進んでいるが、診察や禁煙補助薬の服用といった禁煙治療は3カ月間続く。「20年近く吸っていたわけだから、治療はしっかり最後までやったほうがいい」と石橋医師。「もう大丈夫」と2カ月半で薬の服用をやめ、結局禁煙に失敗した人もいるという。

 気抜かずあと2カ月

 記事にしてしまった以上、なかったことにもできない。あと2カ月、気を抜かずに禁煙治療に取り組みたい。