甲状腺「乳頭がん」が最多

 

 甲状腺は、首の真ん中からやや下(のどぼとけの下)にある、10~20グラムぐらいの小さなチョウの形をした臓器です。

 甲状腺の病気は主に2種類に分けることができ、〈1〉甲状腺ホルモンが過剰になったり不足したりするものと、〈2〉甲状腺の一部または全体が腫れたり、しこりができたりして、形が変化するものがあります。〈2〉の甲状腺の一部にしこりができる病気のうち、悪性のものができることを甲状腺がんといいます。

 腫れやしこりは、エコー(超音波)による画像検査でその見た目がチェックされます。しかし、エコー画像だけでは、がんであることを確定することができませんし、がんの種類を判定することもできません。そのため、がんが疑われる場合には、診断のためにエコー画像を見ながら甲状腺に針を刺して細胞をとり、顕微鏡で確認する検査が行われます。

 甲状腺がんは顕微鏡による見た目によって、いくつかの種類に分類されますが、放射線と関係する甲状腺がんの多くは「乳頭がん」と呼ばれる種類のがんです。この名前は顕微鏡による見た目で名付けられています。

 乳頭がんは、甲状腺がんの中で最も多いものです。一般的に、極めてゆっくり進行し、予後(治療後の経過)がよいとされており、生命に関わることはまれであることが知られています。