ベータ線はのり付け多量

 

 全ての物質(原子)は「陽子・中性子・電子」の粒が何個かずつ集まってできています。中心に陽子と中性子が固まった原子核があり、その周りを電子が回っています。陽子と陽子は電気のプラス同士のため、お互いに反発します。原子核の構造を保つため、陽子と中性子を無理やりくっつける、のりのような役割の力があり、それを「核力」と言いました。

 その一方、陽子や中性子の個数のバランスが悪いとその物質は不安定になり、これを放射性物質と呼びます。放射線の一つであるアルファ線は、陽子2個と中性子2個(合計4個)の塊のことを指しました。これは原子核に陽子が多過ぎて、のり付けのための中性子が足らない場合にバランスが維持できなくなり、排出されるものでした。

 それとは逆に、陽子の数に比べて、のり付けのための中性子が多過ぎる場合があります。そのときには、中性子からプラスの陽子とマイナスの電子が生まれて、電子が原子核の外に吐き出されるということが起きます。

 この吐き出された電子のことを、今度はベータ線と呼び、これも放射線の一つです。アルファ線とベータ線はともに、原子核の陽子と中性子の個数のバランスが悪いことによって生じる放射線なのです。