原発事故、首相が避難指示

 

 能登半島地震では今も避難所での生活を余儀なくされておられる方も多くおられ、心が痛みます。

 さて、今日は少し災害に関する話をしようと思います。災害が起こった際に、避難指示が出されることがありますが、これは誰が出すものかご存じでしょうか。

 避難指示は災害対策基本法という法律に基づいて、市町村長が発令するものです。都道府県知事や内閣総理大臣ではありません。

 わが国は非常に災害の多い国です。国土は南北に長く、四季があり、地域によって天候や地理的状況が大きく異なります。1959年の伊勢湾台風の経験からも、その地域ごとによって、起こり得る災害や状況判断が異なり、東京(中央政府)が離れた地域の情報をリアルタイムに判断することは困難です。そのため避難指示は市町村に委ねられ、さまざまな災害対策は、その多くが市町村単位でそれぞれ行うという構造になっています。

 ただ、この状況は原発事故では異なります。原発事故の特殊性や、起こった場合に広域になる可能性があること、原子力や放射線という高度に科学的な判断が必要な場合もあります。そのため、今回の原発事故当時は、原子力災害対策特別措置法に基づき、内閣総理大臣(政府)が各地方公共団体の長に対して指示を行い、避難指示がされていました。