老人ホームもマッチング

 

 避難指示は市町村長が発令するものなので、災害対策の多くや避難先は自身の市町村内で完結することが前提とされます。その一方、原子力災害の場合には、今回の原発事故の教訓を踏まえ、市町村や都道府県の境を越えた広域の避難先が前もって決められるようになりました。避難元と避難先の市町村がマッチングされているのです。

 この市町村同士のマッチングに加え、避難が大変になり得る老人ホーム同士もマッチングが行われています。例えば、避難元の老人ホーム施設で入所されておられる方が50人であれば、避難先はA市の○○施設に15人、B市の○○施設に10人、C市の○○施設に25人といった具合です。災害時の協力要請の方法や入所者の方の移送、介護の方法、物資の確保などについて記された協定書が施設間同士で用いられている地域もあります。

 この老人ホーム同士のマッチングも、新型コロナウイルス禍が続いていることもあり、都道府県が避難元と避難先の老人ホーム同士をとりあえずマッチングさせてはいるが、老人ホーム同士はお互いがマッチングされていること自体を知らないという所もあれば、交流や情報交換が行われている所とさまざまです。とはいえ、一般の自然災害に比べてより広域の避難が必要な可能性のある原子力災害では、このような広域の避難対策が少しずつ進められています。