「地元でいわきFC見たかった」 天皇杯3回戦、施設整備に課題

 
アウェー戦のため現地に行けないサポーターらがパブリックビューイング会場に集まった21日の天皇杯2回戦=いわき市・いわきFCパーク

 「地元でいわきFCの雄姿を見たかった」。サポーターからため息が漏れた。7月12日にいわきFCがJ1清水エスパルスと対戦するサッカー天皇杯全日本選手権大会3回戦は、県内に同大会の規定を満たすスタジアムがないために、清水のホームである静岡市のIAIスタジアムでの開催が決まった。いわきFCの躍進とは裏腹に本県のスポーツ施設の整備課題が浮き彫りとなった。

 天皇杯の大会規定では、3回戦から準々決勝まではカテゴリーが下のチームが本拠地を置く都道府県で試合が行われることになっている。この規定によれば今回の試合は本県開催となるはずだった。

 県サッカー協会によると、もともと3回戦は平日開催で試合開始の時間が午後7時と決まっていた。しかし、県内には夜間の試合に対応できる照明設備を備えたスタジアムや施設がなく、ホームでの試合を諦めざるを得なかったという。

 県内には、J3福島ユナイテッドFCのホームスタジアム「とうほう・みんなのスタジアム」(福島市)など、Jリーグ公式戦が開催できる施設はあるが、照明設備が常備されている施設がない。

 県サッカー協会は「ホームで開催したいのは関係者全員の思い」とするが、施設面の問題については「対応が難しい」としている。県の地域政策課の担当者は「スタジアム問題については、サッカークラブと地元の自治体が決めるべき問題と考えており、県としては側面からサポートしていく」と話した。

 いわきFCの総監督を務める大倉智いわきスポーツクラブ社長(48)は23日、チームの考えを公式ホームページに発表。「いわき市、福島県、東北の人たちにJ1とのプレーを見てもらいたかった」とした。

 日本サッカー協会によると本県同様、JFLのヴァンラーレ八戸(青森)とJ1名古屋グランパス(名古屋)の対戦も施設の問題で、カテゴリーが上位となる名古屋のホームで行われることになったという。