国追悼施設、26年3月完成見通し 浪江と双葉の復興祈念公園内
震災15年、県と同時開園へ
東日本大震災の犠牲者追悼や復興の象徴として、福島県復興祈念公園(浪江町、双葉町)内に国が整備を進めている福島国営追悼・祈念施設(仮称)が2026年3月にも完成する見通しとなっていることが16日、国土交通省などへの取材で分かった。県が整備する復興祈念公園も同時期の完成を予定しており、国と県は震災から15年の節目を迎える26年春の同時開園に向けて調整を進める。
国営追悼・祈念施設は国が本県と宮城、岩手の被災3県に1カ所ずつ整備する。宮城、岩手の両県ではすでに各県が整備した復興祈念公園とともに完成しており、東京電力福島第1原発事故の影響があった本県は両県と比べて整備が遅れていた。
国営施設には、震源の方向や福島第1原発の排気筒など360度を展望できる高さ10~20メートルの「追悼と鎮魂の丘」が整備される計画で、23日には丘の内部に建設する地下2階、地上1階建ての管理施設の工事が始まる。完成した管理施設では震災後から復興への過程を振り返る映像の上映などが行われるほか、丘の上には花を植え、復興への希望の象徴とする予定だ。
県が整備を進める復興祈念公園は、すでに東日本大震災・原子力災害伝承館に隣接する広場の一部などが利用可能となっており、県は26年3月までの完成を目指して残る管理棟の建設や管理棟と国営施設を結ぶ橋の整備、公園内の植栽などを進める方針だ。
国営施設と公園が完成すれば、国内外で風化などが懸念される震災の記憶や教訓を次世代に伝える新たな拠点となるほか、県が復興の歩みを発信する県独自の旅行施策「ホープツーリズム」について、隣接する伝承館との相乗効果なども期待されている。県は「国営施設とともに県復興祈念公園を全面開園することで、復興に対する強い意志と支援への感謝を国内外に発信する場になる」(まちづくり推進課)と期待する。
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