「国直轄除染」遅れ目立つ 県土の環境回復へ鍵握る

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「国直轄除染」遅れ目立つ 県土の環境回復へ鍵握る

 東京電力福島第1原発事故に伴い、放射性物質で汚染された県土の環境回復へ鍵を握る除染。市町村による除染は一部地域で、ようやく進展する動きが見え始めているものの、国直轄の除染は計画の遅れが目立つ状況に変わりがない。県民、行政がそれぞれ「除染が本県復興の前提」との認識は共通していても、除染が思うように進まない背景には依然として除染で出る汚染廃棄物の仮置き場確保の問題が立ちふさがる。国は見通しの甘さから除染計画を改定し、現実的な対応を迫られる事態だ。除染の加速化に向けて施策を実行できるのか、行政には待ったなしの取り組みが求められている。

 田村・都路のみ完了 工程表、9月にも見直し

 原発事故で避難区域に指定された11市町村を対象とし、国が直轄で除染する特別地域のうち、現時点で作業が完了したのは田村市都路地区のみ。環境省は、放射線量が特に高い帰還困難区域を除き、2014(平成26)年3月までに完了させるとした当初の工程表を見直し、今月上旬にも発表する意向だ。

 除染特別地域で、特に計画の遅れが出ている南相馬、飯舘、川俣、葛尾、浪江、富岡、双葉の7市町村について、同省は工程表の見直しに伴い、完了時期を延期する方針。ただ、中には具体的な時期が示されない市町村が出るとみられ、住民の帰還や生活再建に影響が出る可能性が高い。

 他町村でも全体的に計画は遅れ気味。工程表をめぐっては、作業着手に必要な住民の同意や仮置き場の確保など、実務的な課題が続出したことで作業の遅れが避けられなくなり、住民の間には「本当に計画通り実現できるのか」との懐疑的な見方が広がっていた。

 工程表は民主党政権時代に作られたが、自民、公明両党への政権交代で課題を踏まえた現実路線にかじを切る形となる。同省は工程表の見直しに合わせて、除染の加速化対策を打ち出す方針だが、これ以上の繰り延ばしは許されず、対策の実効性が厳しく問われる。

 双葉町、策定作業がスタート 13年中に取りまとめ

 5月の区域再編で町内の96%が帰還困難区域となった双葉町。国直轄で除染が行われる11市町村で、唯一、除染計画が策定されていない。町によると、現在策定段階という。

 環境省は今月から双葉、浪江両町の帰還困難区域でモデル除染に着手し、年内に結果を取りまとめる予定だ。同省は高線量地域の除染の効果が不透明なことなどを理由にモデル除染実施の検討を続けてきたが、帰還困難区域の効果的な除染方法の検証が不可欠として実施を決めた。双葉町では、双葉厚生病院とふたば幼稚園周辺で行われる。

 国のモデル除染について、双葉町は前町長が除染方法などに疑問を呈してきたが、伊沢史朗町長は区域再編の受け入れ条件として再編後も避難住民に生活再建支援策を講じることなど7項目を要望し、モデル除染の実施も求めていた。町の担当者は「時期や状況を見極めて除染を効果的に進めるように要望したい」としている。