都市部住宅の除染加速化が課題 手付かずの地域多く

 
都市部住宅の除染加速化が課題 手付かずの地域多く

福島市が整備を進める仮置き場。除染の加速化を求める声は強まっている=2日郡山市の各地で進められている住宅除染。仮置き場が決まらず、現場保管する状態が続いている=8月31日

 市町村による住宅の除染作業で、中通りの都市部では、戸数が多いことから手付かずの地域が多く、仮置き場の用地確保にも苦心している。

 福島は本年度4万戸

 福島市は、放射線量の高い地域から約4万戸の住宅除染を本年度中に終える計画で、8月1日現在の進捗(しんちょく)率は41.1%。本年度分の発注は全て終えているが、進捗率を見ると、計画達成はまだ遠い。最終的には約9万戸の除染が必要とみられ、時間の経過とともに比較的線量の低い地域の市民らから除染の加速化を望む声が強まっている。

 一方、市内で最も線量が高く、最初に除染を実施した大波地区は、部分的に高線量の箇所があり、再除染が検討されている。市にとって「まだ除染に着手できていない地区もある」というジレンマが生じている。

 郡山の進捗率は58%

 郡山市は、2015(平成27)年度までに約10万4000戸の発注を終える計画。8月19日現在、昨年度の契約分で1万1236戸で完了し、契約に対する進捗率は58.7%。ただ、全体の計画から見ると、完了したのは約1割。

 昨年度は積雪で作業ができなかったり、所有者との事前立ち会いに時間を要したが、本年度に入ってから各地で順次作業が行われ、市民にも目に見える形で進み始めた。同市の担当者は「作業は軌道に乗っている」と話す。

 しかし、除染で発生した汚染土壌などを保管する仮置き場は1カ所も決まっていないため、住宅敷地に現場保管されている。中間貯蔵施設の設置に向けた動きが進まない中、仮置き場設置への住民理解を得るのが難しいことが背景にある。同市は国、県、市有地などを中心に候補地の選定を急いでおり数カ所程度確保したい意向だ。

 福島市も除染の加速化に向けて仮置き場の確保が最大の課題。これまでに7カ所に整備し、このほかにも仮置き場確保に向けて、用地確保や住民への説明で協議を重ねている。ただ、汚染土壌などの発生予測量に比べて十分な規模の土地が確保できず、住宅に仮置きしている汚染土壌を運び込む余裕のない場所もある。