除染...目立つ遅れ 避難区域、「国直轄」完了は都路のみ

 
除染...目立つ遅れ 避難区域、「国直轄」完了は都路のみ

国の直轄除染エリアの農地で除染を行う業者=浪江町酒田地区

 避難区域の11市町村では国が直轄で除染を進めているが、唯一完了した田村市都路地区を除き、仮置き場の確保や住民の同意取得などに時間を費やした影響で計画は大幅に遅れている。

 環境省は昨年12月、本年度中に除染を終える当初計画を断念、最大3年延長した。現実路線にかじを切った形だが、3年後の完了も作業員や仮置き場の十分な確保が前提条件となる。

 避難指示解除準備、居住制限両区域では徐々に除染が動きだしている。帰村宣言を出して住民の帰還を促している川内村、今春に帰還時期を判断する楢葉町では、住宅など生活圏は相当程度作業が進んだ。一方、年間被ばく線量が50ミリシーベルトを超える帰還困難区域ではモデル除染だけで、面的な除染が実行される見通しすら立っていない。町の96%が同区域の双葉町は今も除染計画が策定できていないのが現状だ。

 市町村、住宅の半数以上手付かず 

 県によると、市町村が除染する地域では1月末現在で、住宅は34市町村が計画している23万6071戸に対し、調査のみを含めて32市町村の10万507戸まで除染が完了。進捗(しんちょく)率は42.6%と5割に満たない状況にとどまる。調査のみで終える場合は自然減衰の影響などで空間放射線量が低減する中、作業前に測定した線量が低く除染は不要と判断したケースが当てはまる。公共施設は、36市町村が6119施設の除染を計画しており、78.6%の4808施設まで実施された。

 市町村の除染で出た汚染土壌などの仮置き場は昨年12月末時点で636カ所が確保され、うち251カ所で廃棄物の搬入が済んだ。また、現場保管は4万7433カ所に上った。