進むか...「中間貯蔵」 県が主導、大熊・双葉両町に集約

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進むか...「中間貯蔵」 県が主導、大熊・双葉両町に集約

 東京電力福島第1原発事故からの復興を加速化させる上で不可欠な除染は、事故から丸3年が経過する中、大幅に遅れている。国が原発周辺の11市町村で行う直轄除染は当初、本年度中に完了予定だったが、仮置き場の設置などが進まず工程は最大3年延長された。設置の遅れは、仮置き場から除染廃棄物を搬入する中間貯蔵施設の建設が固まらないことにある。国は福島第1原発周辺を国有化し、施設を整備する計画だが、住民帰還を大きく左右するだけに議論は続く。

 政府が昨年12月、県と大熊、双葉、楢葉3町に中間貯蔵施設の建設受け入れ、富岡町には民間管理型処分場の活用受け入れを正式要請して以降、年末年始を挟み約1カ月半は表立った動きは見られなかった。しかし楢葉町は1月末、3町のうち放射線量が比較的低く、住民の早期帰還を目指す町の立場から、高濃度廃棄物の受け入れ拒否を表明した。

 これを受け、佐藤雄平知事は候補地から楢葉町を外し、敷地面積を増やさず大熊、双葉両町に集約する方針を打ち出し、さらに富岡町の管理型処分場に建設が計画されていた焼却灰の固化施設を楢葉町に移す意向を示した。原発立地4町の現状の違いに配慮しながら、負担配分のバランスにも目配りした判断だった。

 双葉郡8町村の了承を取り付けた佐藤知事は2月12日、政府に計画の見直しを要請した。佐藤知事自身が前面に出て政治決断する姿勢を演出することで、県議会から厳しい追及も予想された2月定例会前に一気呵成(かせい)に駒を進めた格好だが、県から国、町村への周到な根回しが透けて見える。

 県内では除染の遅れが県民の不安と不満を高め、復興の足かせになっている。仮置き場の設置に苦労する中通りを中心に中間貯蔵施設の早期建設を求める声が強まる一方、建設地の住民に帰還の可能性を奪う重大な決断を迫ることになる。候補地の関係者は「無言の圧力を感じる」と板挟みの苦悩を抱え、広域自治体の県が主導しなければ、事態の行き詰まりは不可避との見方が広がっていた。

 【施設の基本構造】 濃度に応じ3分類

 政府が計画する中間貯蔵施設の基本構造は、貯蔵物の放射性セシウム濃度に応じ、国が処理に責任を持つ1キロ当たり8000ベクレル超の「指定廃棄物」を貯蔵する施設、同10万ベクレル超の高濃度廃棄物を保管する施設、同8000ベクレル以下の汚染土壌などをためる施設の3種類に分けられる。

 施設の種類ごとに建設場所も変え、遮水対策などを施した上で、低地や丘陵地、台地に整備。10万ベクレル超の高濃度廃棄物は専用の容器に入れて建屋内に貯蔵する。

 敷地内には、県内各地の仮置き場から運び込まれた汚染土壌などを受け入れて分別する施設、廃棄物の容量を減らす減容化施設なども一体的に備える。

 一方、政府が活用を要請した富岡町の民間管理型処分場は、残り容量が約74万立方メートルあり、双葉郡8町村の生活ごみ、避難区域内で出た廃棄物など約65万立方メートル(1キロ当たり10万ベクレル以下に限定)の埋め立て処分を見込む。施設の安全対策として、廃棄物を焼いた後の焼却灰からセシウムが水に溶けて流れ出さないようセメントで固化する。

 政府は当初、富岡町の民間管理型処分場の敷地内に固化施設を建設する計画だったが、県は「手狭な場所に造ると安全性が懸念される」と指摘、隣の楢葉町に十分な敷地を確保して設置するよう政府に計画の見直しを求めている。富岡町の処分場に向かう接続道路は楢葉町側にある。

 環境省によると、中間貯蔵施設に汚染土壌などを運び終えた後、敷地境界での追加被ばく線量は年間0.5ミリシーベルトと試算、施設の火事や地震、津波など事故発生時は最大0.69ミリシーベルトに上ると見込んだ。施設周辺に緩衝緑地を設けるほか、廃棄物を土で覆うなどして放射線を遮ることにより線量上昇を抑える対策を講じる。

 【運搬候補ルート】 拡散・事故防止が課題 

 県内各地から中間貯蔵施設に汚染土壌などを運ぶため、環境省が昨年7月にまとめた運搬候補ルートは、住民の生活圏や通学路を避け、大型ダンプなどでも走行できる幹線を重視した。しかし、地図に落とすと都市部を除いて地域の幹線道路や高速道の大半が含まれ、沿線の住民にとっては放射性物質を拡散させない被ばく防止対策や交通事故防止対策が最重要の課題となる。

 同省は安全な輸送方法の確立を目指し、昨年末に有識者検討会をつくり、今夏をめどに輸送の基本計画をまとめる方針。ダンプや貨物列車を含んだ輸送手段、ルート、車両に積んだ際の積み荷の形態、輸送中の安全対策を打ち出す見通し。