震災経て子ども成長、できることを懸命に 杉昭重県教育長

 
震災経て子ども成長、できることを懸命に 杉昭重県教育長

「さまざまな場面で頑張る本県の子どもたちを頼もしく感じる」と話す杉教育長

 ふたば未来学園高の開校など明るい話題の一方、現在も多くの子どもたちが避難先で授業を受けており、本県を取り巻く教育の課題は山積している。杉昭重県教育長に教育復興に向けた取り組みを聞いた。

 −本県教育の復興状況は。

 「校舎の修繕など物理的な復旧が進む一方で、相双地区ではいまだにサテライト校での授業が続くなど、教育現場の復興は道半ば。ただ、この4年間で震災を経験した子どもたちの成長を強く感じた。震災の経験が将来を考える上での動機づけとなり、自分のできることに一生懸命取り組もうとする姿に頼もしさを感じている」

 −4月にふたば未来学園高が開校する。

 「双葉郡の復興のシンボルとなる学校だ。入学生たちは古里で学び、古里を復興させたいという強い思いを持っている。そんな生徒たちの夢を実現できる学校にしたい」

 −「ふたばの教育復興応援団」など多くの人が本県の教育復興を支えている。

 「福島のために応援してくれることが、とてもありがたい。夢を持ち、一線で活躍する応援団一人一人の生きざまを、子どもたちに見せてほしい」

 −一方で、子どもの肥満傾向や体力低下など原発事故に起因した課題は改善されていない。

 「一気に改善はしないが、毎年の調査結果をみると徐々に回復している。屋内外で体を動かせる環境づくりや運動プログラムの実施など努力を続けていきたい」

 −本県の教育の将来像をどう描くか。

 「放射線教育や県独自の道徳教育など、震災と原発事故を経験した本県だからこそできる教育の成果が、子どもたちの中に表れてきている。子どもを守り、夢を実現させられるよう一丸となって取り組んでいく」