故郷身近に「ふるさと創造学」 双葉郡の小中校、先行導入

 
故郷身近に「ふるさと創造学」 双葉郡の小中校、先行導入

巫女などさまざまな分野の専門家を招いて行っている「ふるさと創造学」の授業=いわき市・楢葉南、北小仮設校舎

 双葉郡の小、中学校では本年度から、「ふるさと創造学」の授業を先行導入している。いわき市の仮設校舎で共に学ぶ楢葉南小の猪狩快斗君(12)、楢葉北小の猪狩慧君(12)はふるさと創造学の初年度を振り返り、「知らなかった楢葉町を知ることができた」と口をそろえる。

 昨年5月下旬から始まった授業は、インターネットなどを活用しながら町の農業や観光、工業などを調べたり、市内の仮設住宅を訪れて高齢者と昔遊びをして交流するなど各学年の発達段階に応じて進めている。9月からは役場職員や神主、巫女(みこ)、漁業者など各分野の"専門家"をゲストティーチャーとして招き、地域の歴史や文化、観光などを学んだ。

 4年生以下は、実際に町の校舎で授業を受けたことがない。教員たちは授業の内容や進め方を試行錯誤し、5月には事前研修として町内を巡って資料を収集。写真を撮って授業の資料にするなど実際に現地で学ぶことが難しい児童たちに、いかに古里を身近に感じてもらうかをポイントにした。一方で、課題もある。ふるさと創造学は現在、各町村、学校が独自に取り組んでおり、その内容はさまざまだ。斎藤洋子楢葉南小校長は「互いに情報交換するなど郡全体で緊密な連携も必要では」と提言する。

 2014年度、避難先で4校再開 

 原発事故の避難区域となった双葉郡の小、中学校は、原発事故から4年を迎える現在も臨時休校を強いられていたり、避難先での授業を続けている。

 同郡では本年度、双葉町と浪江町の小、中学校計4校がそれぞれ避難先で学校を再開した。ただ、郡内の小、中学校28校のうち、地元で授業を再開したのは広野町2校と川内村2校の計4校のみ。浪江町の6校はいまだに臨時休校を余儀なくされている。郡内の小、中学校は震災前に比べて児童、生徒数が大幅に減少したままの状況が続いている。