相馬・松川浦で50年ぶり「ウミミドリ」確認 絶滅危惧1類指定

 
津波をかぶった田んぼで群落をつくるウミミドリ。県のレッドデータブックで絶滅危惧1類に指定されている=2013年7月、新地町

 2013(平成25)年10月、県のレッドデータブックで絶滅危惧1類に指定されている、サクラソウ科の多年草「ウミミドリ」が、相馬市松川浦の津波被災地で見つかった。松川浦では約50年ぶりの確認だったという。

 場所は、県が希少野生動植物保護のため震災後に設定した松川浦大洲地区南側の「保全区域」内の湿地。ウミミドリを発見したのは、当時、福島大共生システム理工学類4年生だった渡辺祐紀さん。同大の黒沢高秀教授(植物分類学)の指導の下、松川浦で植生調査と植物相調査を進めていた。

 黒沢教授によると、ウミミドリは塩性湿地に生育する植物で、護岸工事などで震災前には全て消滅、姿を消した。ウミミドリは同年、新地町の津波被災地2カ所でも発見されている。

 松川浦に新たな生態系 ウシガエル繁殖、希少種保護必要

 「松川浦で絶滅危惧1類のウミミドリが約50年ぶりに見つかるなど、震災後、壊滅状態だった松川浦に動植物が戻ってきている」。2000(平成12)年から松川浦(相馬市)の自然環境保護活動に取り組む市民団体「はぜっ子倶楽部」の新妻香織代表は語る。

 「天然記念物のコクガンが松川浦まで南下しているのも確認されている。震災による環境の大きなかく乱は、動植物にとっては、新しい生態系を築く機会にもなっている」と指摘。一方で、昨年から、松川浦の小さな池で、ウシガエルが異常繁殖している。

 「絶滅危惧1類のオオイチモンジシマゲンゴロウが、食べられてしまう可能性がある。今春からはウシガエルの駆除にも取り組みたい」。環境保護に新たな問題も生まれている。