野生動物の増加悩み イノシシの生息域拡大、捕獲追い付かず

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避難区域内で目撃情報が相次ぐイノブタ。餌を探しながら町内を歩く群れ=2014年2月、富岡町

 震災から間もなく5年。津波や東京電力福島第1原発事故の影響などで大きく変わってしまった本県の自然環境。浜通りの避難区域などを中心にイノシシやイノブタ、アライグマなどの野生動物が増え続けており、避難解除で住民帰還を進める中で、駆除などの対策が急務となっている。その一方で、津波に遭った沿岸部では干潟ができるなどして、絶滅危惧種に指定されている「ウミミドリ」「ツツイトモ」などの貴重な植物も相次いで見つかるなど、貴重な自然環境の復活の兆しも見られている。

 避難区域を中心に生息域を拡大しているのがイノシシ。原発事故で一時低下した捕獲数は、1頭当たりの捕獲報奨金の増額など市町村の取り組みで事故前の水準を大幅に超え、2014(平成26)年度は1万5000頭(推定)に上った。

 しかし、14年度、県内には08年度の2倍ほどの5万頭近くが生息していたとみられる。急激な増殖に捕獲が追い付かないのが現状だ。

 県は対策を急ぐが、セシウムを吸収しやすいとされるイノシシを処分する際の放射性物質対策など、課題は山積している。

 「震災前から生息か」イノブタで実態調査

 県は2013(平成25)年4月、東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域内でイノブタの目撃情報が相次いだ問題で、家畜だったブタと野生のイノシシが交配したとみられていた区域内のイノブタが「震災前から生息していた可能性が高い」とした実態調査結果を公表した。

 県は避難区域に指定された6市町村で74頭のイノシシを捕獲、うち62頭のDNAを解析し、遺伝子の型を調べた。その結果、DNA解析では11頭がイノブタと判明したが、いずれも家畜だったブタと交配した場合に検出される可能性のある遺伝子は検出されなかった。

 アライグマ「高密度で生息」 感染症のリスク懸念、帰還に問題

 帰還困難区域で生息場所を拡大し、問題となっているのがアライグマ。福島大環境放射能研究所の奥田圭特任助教(野生動物管理学)は昨年11月、福島大で講演し、原発事故に伴う避難区域にアライグマが「非常に高密度で生息」しており、将来の住民帰還の際に問題になるとして、対策の必要性を指摘した。

 奥田さんは帰還困難区域などで野生動物を調査し、イノシシやキツネ、タヌキとともにアライグマが数多く生息しているとみられることを確認した。

 その原因として、「帰還困難区域などでは繁殖場所となる空き家が多く、柿など放置された果樹などの食べ物も多い」と指摘。住民が帰還した際、アライグマが持つ感染症のリスクも懸念されるとして、駆除など野生動物管理対策を求めた。