住環境・需要が変化 復興公営、"人気地区"に応募が集中

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住環境・需要が変化 復興公営、

 東京電力福島第1原発事故の避難者の生活安定に向けて県内で整備が進む復興公営住宅。県は、全ての復興公営住宅を2016(平成28)年度中に完成させる方針だったが、用地造成に難航したことなどから整備する4890戸のうち1000戸の完成が17年度以降にずれ込む見通しで、369戸は調整中となっている。整備の遅れなどを背景に県の入居者募集への応募にも偏りが生じてきており、対応が課題となっている。

 【復興公営】県によると、復興公営住宅で6月に応募結果を発表した3期募集分1349戸の申し込み倍率は1.09倍。募集を上回る応募があったが、最高8倍の住宅がある一方、応募ゼロもあるなど偏りが目立った。

 県は偏りについて、いわき市など避難者の需要が多い地区で整備が追い付いていないことに加え、「若者世代で入居に迷いを持つ人が多くいる」と分析する。

 これまでの傾向では、高齢者が郊外の戸建て住宅を希望するケースが比較的多く、人気が集まっている。仮設住宅や民間借り上げ住宅の無償入居期限は17年3月末のため、若者世代の多くが様子見しているとみている。

 県は住民意向調査を基に13年12月に復興公営住宅の全計画戸数を4890戸に決めた。ただ、完成時期が17年度以降にずれ込んだことで、避難者の考えや取り巻く環境が変化し、需要が変わった可能性もある。

 県は定員に満たない住宅について、再募集をかけ、それでも入居者が集まらない場合は入居要件を緩和して再々募集するなどの対応を取っている。しかし、今後、避難者がどのような希望を持つかどうかは不透明な部分も多く、柔軟な対応が求められる。

 「家族で会話できる」 

 飯舘村が福島市飯野町に建設した復興公営住宅。村民の入居から約1年が経過した。福島市松川町の仮設住宅から引っ越し、戸建ての復興公営住宅に家族5人で入居した会社員菅野陽介さん(29)は「仮設住宅とは違い、近所を気にせず、家族で会話できる。安心感がある」と安堵(あんど)感をにじませる。

 仮設住宅で約3年2カ月の避難生活を送った。生活する上で最も気にしたのは、近隣への音漏れ。夏は暑く、冬に冷え込んだ住環境だった。2棟の仮設住宅に最大で家族10人が住んだこともあった。

 菅野さんは「冬は暖かいし、広くていいですね」と話す。復興公営住宅への入居を申請したのは高齢になる祖母ら家族に「落ち着いた場所で生活してもらいたい」との思いからだった。

 福島市の高校に通う弟大喜さん(17)や母月子さん(55)ら家族で、だんらんの時を楽しんでいる。周辺に住む姉や姉の子どもらを囲む時もある。

 村内の自宅は、ネズミや野良猫が入った上に、カビの臭いで生活は困難な状況だ。菅野さんは故郷への思いを抱きながらも、「ここは公営住宅だから、避難指示が解除されれば、家賃が発生する。村外で新たな拠点をつくって生活することも検討している」と今後に思いを巡らせる。