【起き上がり小法師】〔会津美里・ラーメん親不孝〕情熱、こだわりの一杯

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「屋号の『親不孝』は自分の人生も振り返って付けた。ラーメンを食べて故郷と親のことも思い出してほしい」と話す野崎さん

 会津美里町の宮里仮設住宅近くの仮設店舗でラーメン店を営む。今秋には町内に新店をオープンする予定だ。楢葉町出身の店主野崎仂(つとむ)さん(78)は「楢葉の人も会津の人も食べに来てくれる。自分が納得できるものをつくっていく」と力を込める。

 高校卒業後、新宿で中華料理店などを経営。その後三宅島でラーメン店を開いたが、2000(平成12)年に噴火で離島を余儀なくされた。楢葉町の両親の元で再び開店したが、今度は原発事故に襲われた。

 2度にわたり暮らしを奪われ、会津美里町の仮設住宅に入った。失望したこともあったが、楢葉町民らの「野崎さんのラーメンが食べたい」という声に背中を押された。12年には会津若松市内に店を構えたが、豪雪で通勤や買い物がままならず、やむなく閉店。現在の店に切り替えた。

 新店は自宅と兼用で準備中。被災事業者支援の補助金を受けるつもりだが、見積もりなどの手続きが複雑で時間がかかっている。「行政側が思うよりも、実際に使う側にとっては難しいこともある。行政は被災者と目線を合わせ、使いやすい制度にしてほしい」

 一押しメニューの「支那麺ラーメん」(税込み600円)は鶏ガラに豚、魚介のコクを加えたスープが自慢。楢葉町民にも会津人にも合うよう、細麺と太麺を準備する。「体の動く限り立ち止まらない」。トレードマークのねじりはちまきを締め直し、今日もまた厨房に立つ。