【ニュースを追う】コケとオリーブ実証栽培 手間なく農業再興

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 東京電力福島第1原発事故による避難指示が帰還困難区域を除き3月に解除された浪江町。原発事故を受け、農業を担う若者世代の流出、農地の荒廃防止や農業の再興が課題となっている。そのような中、同町立野地区の住民による「立野地区農地復興組合」が今秋、農地の保全作業の一環としてコケとオリーブの実証栽培を始めた。共通するのは手間をかけずに無理せず栽培できることだ。

 同組合によると、コケは近年、屋上や屋根、壁面などに緑化資材として需要が高まっており、需要が見込める。一方のオリーブは、県内ではいわき市が有名だが、同じく太平洋に面する同町の温暖な気候も栽培に適しているとみられる。

 原発事故の被災地では若年層の流出が進み、農業の担い手確保が深刻な課題になっている。約380ヘクタールの耕作地がある同地区では帰還者も少なく、農地管理が将来的に難しくなることが懸念されるが、コケは放置したままでも雨水で育つといい、オリーブは町内で栽培されていた梨に比べ消毒の手間が省け、組合員の負担軽減を図ることが可能だ。

 同組合の中野弘寿事務局長(64)は「まだ始まったばかりだが、反響は大きい。農業再興を目指すほかの地区の人たちの勇気につながれば」と語る。