『聖地』復活へ期待 Jヴィレッジ整備急ピッチ、7月一部再開

 
鉄骨7階建て(一部8階)で客室117室を整備。約300人が利用できるコンベンションホールも設け、アスリートだけでなくイノベーションコースト構想に関連した事業者をはじめ幅広い人が利用可能となる。右側はセンター棟

 国内有数のサッカートレーニング施設、Jヴィレッジ(楢葉、広野町)が今夏、再始動する。東京電力福島第1原発事故収束の対応拠点となっていたが、現在は7月28日の一部施設の再開に向けた整備が急ピッチで進む。震災前は年間50万人が訪れ、日本代表も利用した「聖地」復活への期待は大きい。

 Jヴィレッジは1997(平成9)年に、日本初のサッカーナショナルトレーニングセンターとして開設。東日本大震災で営業を休止し、第1原発へ向かう作業員らの駐車場や送迎バスの中継点となっていた。県と運営会社のJヴィレッジは昨年3月から、サッカートレーニング施設として再整備を進めている。

 「新生Jヴィレッジ」には、日本初となる全天候型のサッカー場や新しい宿泊棟、コンベンションホールが整備されるなど、新たな魅力が加わる。県などは天然芝を張り替えたピッチの一部や新宿泊棟、センター棟などを7月に先行して再開させ、来年4月の全面営業再開につなげる。

 全面営業再開後は、2020年東京五輪日本代表の事前合宿などサッカー関連の誘致にとどまらず、ラグビーなどの他競技やドローンレース、コンサートでの利用も視野に施設利用を進めていく方針だ。

 日本サッカー協会(JFA)も動きだしている。中学生や高校生を対象にしたサッカーの「エリート教育」を同施設で行う方針で、震災後に、静岡県に拠点を移したJFAアカデミー福島についても、早ければ21年に県内で再開する見通しだ。

 本県選手の競技力向上

 JFAとJリーグがまとめた復興支援策「DREAM福島アクションプラン」や、県と県内サッカー関係者による「ふくしまサッカーチャレンジプロジェクト」には、新生Jヴィレッジを拠点として本県選手の競技力向上や地域振興に取り組む計画が盛り込まれている。ハード、ソフト両面で聖地復活への取り組みが進められている。