全力で被災地の『今』守る!県警特別警ら隊、事件事故抑止へ巡回

 
住民に不信電話に注意するように呼び掛ける沢本巡査部長(右)と松本巡査

 双葉署浪江分庁舎を拠点に活動する県警特別警ら隊。全国から県警に特別出向した警察官(愛称・ウルトラ警察隊)と本県警の警察官ら計約50人が、避難指示が解除された地域や帰還困難区域をパトロールし事件事故の抑止、原発周辺の警戒活動などに取り組んでいる。

 ある日のパトロール。警視庁時代に被災地派遣されたことをきっかけに2015(平成27)年に本県警に採用された沢本和幸巡査部長(36)と、「被災地で活動したい」との思いで滋賀県警から今年4月に特別出向した松本大和巡査(26)がペアになり、17年3月に避難指示が解除された浪江町立野地区を巡った。在宅していた女性には「怪しい電話には気を付けて」などチラシを渡しながら注意を呼び掛けた。

 「家屋が解体されたり、新築されたりする様子を見ると、それぞれの生活が少しずつ前に進んでいるのだろうと感じる」と沢本巡査部長。一方、松本巡査は「帰還困難区域は震災・原発事故当時のままと感じる」。復興が進む地域と、事故当時から変わらない地域それぞれを肌で感じている。

 震災、原発事故当時、相馬署に勤務していた渡部秀吉副隊長(46)は「復旧・復興が進むとともに震災・原発事故当時のことが分からなくなっていく。当時の状況を伝えていくことで、隊員たちに知ってもらうことを心掛けている」と話す。「巡回している姿を見てもらい、治安の回復を感じてもらえるようにしたい」