【双葉郡の空き巣被害】認知件数...倍増125件 後を絶たない窃盗

 

 東京電力福島第1原発事故により今も多くの住民が避難している双葉郡で、空き巣(侵入盗)の被害が後を絶たない。今年1~6月の認知件数は125件で前年同期の50件の2倍以上となり、県内で双葉署管内が最も多い状況だ。盆の入りを控え、墓参りなどで避難先から一時帰宅する住民が増えることから、双葉署や関係者は総力を挙げて抑止に目を光らせる。

 刑法犯認知件数181件のうち、空き巣の認知件数が約7割を占める。全町避難が続く双葉町のほか、帰還困難区域が残り住民の帰還の動きが鈍い大熊、浪江、富岡3町に被害が集中。帰還困難区域の周囲には高さ約2メートルのバリケードが設置されているが、容疑者はその隙間などから侵入し、家屋を物色しているとみられる。

 今年1月には、帰還困難区域内の住宅に盗み目的で侵入を繰り返した疑いで、本籍岐阜県の男が逮捕された。男は「人がいない場所で好き放題できた。約500件は入った」などと供述。また、海外への転売目的とみられるトラクターなど農業機械が盗まれる被害も相次いでいる。住民帰還の妨げになりかねない事態で、同署は県警本部やいわき中央署、民間団体と連携を強めて抑止と摘発に向けた取り組みを強化している。