希少大豆の湯葉で勝負 西郷ゆば工房、近藤武男さん

 
手作業で湯葉を作る近藤さん。「味に自信がある」と語る

 希少な在来種を使い、ここにしかない商品で勝負する。西郷村の「西郷ゆば工房」は、同村でしか栽培していない大豆「にしごう」を使い湯葉を作っている。代表の近藤武男さん(41)は「無農薬栽培の安心安全の大豆。味に自信がある」と胸を張る。

 農薬は使わず

 近藤さんは元々、農家として同工房に大豆を卸す立場だった。同工房の先代の仲谷照夫さんから高齢を理由に「跡を継いでほしい」と頼まれ、2017年に2代目となった。仲谷さんから湯葉や豆腐の作り方を教わった。大豆の栽培も続けながら工房を運営している。

 在来種「にしごう」は濃厚で甘味が強く、栄養価が高いとされる。農薬や化学肥料を与えずに生産し、夏は手で除草する。近藤さんは「(無農薬栽培は)大変だけど製造までストーリー性がある。6次産業化にはおいしさに加えて、ストーリー性も大事」と語る。

 妻と二人三脚

 近藤さんは1級建築士の資格を持ち、現在の工房を設計。その後農家に転身した。「自宅と工房が、建築家としての最初で最後の作品」と笑う。妻の理恵さんと二人三脚で工房を営んでいる。

 シオクリビトのECサイトには、県内外から注文が寄せられている。近藤さんは「県外の人がサイトを見ることで、『にしごう』の認知度が向上する。いつか興味を持ったお客さんに村を訪れてもらえればうれしい」と期待を寄せる。 (小山璃子)