聖光学院「最強打線」...まさか 主将の涙、優勝の夢は下級生へ

 
【報徳学園―聖光学院】9回裏聖光学院1死一塁、投ゴロで併殺に倒れ、空を見上げる主将の矢吹=甲子園

 100回目の大舞台で校歌を響かせることはできなかった。聖光学院は夏の甲子園初戦で報徳学園(東兵庫)に2―3で惜敗。1点を争う試合で持ち味の手堅い野球が崩れ、強打も影を潜めた。最後まで歯車がかみ合わないまま試合を終えたナインは悔しさを隠さなかった。

 9回裏1死一塁、主将の矢吹栄希(はるき)(3年)は一塁へ懸命に走り、頭から突っ込んだ。投ゴロに打ち取られた矢吹は少し時間をおいて立ち上がると、ヘルメットを脱ぎ空を見上げた。「今までやってきたことは何だったんだろう」。頭の中が真っ白になった。

 「史上最強打線」と呼び声が高かったチームは10安打を放ち、再三好機をつくりながらも3点目を奪えなかった。接戦で勝敗を分けたのは犠打。要所での3度の失敗が響いた。相手が挙げた3点はいずれも犠打で好機を広げての得点。聖光学院が得意とする得点パターンだった。

 試合後、選手の一人は顔を覆って涙を流し、別の選手はぼうぜんと空を見つめた。県勢として初めて東北大会で秋、春連覇を達成するなど新たな歴史を築いてきたナインにとって、あまりに早い幕切れ。受け入れがたい試合内容でもあった。

 3度、甲子園の土を踏んだ矢吹は「自分のせいで負けてしまった。結局3度とも悔しい思いしか残らなかった」と声を振り絞り、主将として敗戦の責任を背負い込んだ。

 ただ、涙を流す3年生の姿を後輩たちは目に焼き付けた。2年生で唯一出場した小室智希は涙をぐっとこらえ「最後は自分が支えよう」と先輩たちに寄り添った。「次は自分がチームを引っ張る」と小室。歴史を築いたナインの系譜は後輩へと受け継がれた

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