学法石川・佐藤翼、飛躍103球 センバツ、健大高崎苦しめた粘投

 
【学法石川―健大高崎】力投を見せた学法石川の先発佐藤翼

 19日に行われた1回戦で高崎健康福祉大高崎(群馬)に0―4で敗れた学法石川。最終回に2死満塁とするなど好機もつくったがあと1本が出なかった。

学法石川

 【評】中盤まで緊迫した投手戦を繰り広げた学法石川だったが、健大高崎の投手陣を最後まで攻略できず、競り負けた。学法石川の先発佐藤翼は丁寧にコースを突く投球で相手打線を打ち取り試合をつくったが、6回に先制点を許した。打線は、7回まで先頭打者が出塁できず攻撃を組み立てられなかった。敵失に乗じて三塁まで走者を進めた2回や、安打がつながった最終回にあと一打がほしかった。(坂本龍之)

 佐藤翼「めちゃくちゃ楽しかった」

 翼で羽ばたくかのように、しなる左腕を懸命に振り続けた。学法石川の先発佐藤翼(2年)は、相手好投手とがっぷり四つの投手戦を繰り広げた。「めちゃくちゃ楽しかった」。7回途中3失点の力投を笑顔で振り返った。

 強力打線に真っ向から立ち向かった。健大高崎の昨秋公式戦打率は出場32校中トップの3割9分7厘。切れ目ない打線相手に、佐藤は抜群の制球力で左右関係なく内外を厳しく攻めた。「左打者の内側は苦手だったが今日は投げ切れた」。左打者が6人並ぶ打線を被安打5に抑え、自信をつけた。プロが注目する4番の箱山遥人(3年)も3打数無安打に抑え、「別にどうってことなかった」とあっけらかんだ。

 佐々木順一朗監督は「投手で一番ピッチャーらしい性格や球質。マウンドに上がると人が変わる」と信頼し、先発を託した。この日も落ち着いたプレートさばきを見せ、けん制、クイックで走者を釘付けにし、健大高崎伝統の機動力も封じた。

 昨秋の東北大会準決勝で好投し、チームを春の甲子園に導いた。寒さの厳しい冬には体づくりに専念し、体重を約5キロ増量。持ち味の球の切れや伸びに加え、力強さも増した。

 3月中旬の大阪入り後の練習試合では、大体大浪商打線に捕まり、初回に7失点。「全部ボールが高くいった」。自信を失いかけたが、佐々木監督の勧めでセンバツ初戦を前にチーム全員で映画観賞をした。リラックスしながら士気を高め、自分を取り戻した。

 「きっとうまくいく」。マウンドではそう自分に言い聞かせながら、徹底的に低めを意識して投げ続けた。

 「練習してもっと体を大きくしてまたここで投げたい」。2年生左腕はこの日得た収穫と悔しさを胸にさらに練習を重ね、再び憧れの場所へと戻ってくる。(南哲哉)

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