基礎疾患と歯科治療

 

 病気や服薬の際は相談を

 有病者歯科という言葉が歯科領域にはあります。有病者とは病気を有する方を言います。

 歯科医院を受診する患者さんは、むし歯や歯槽膿漏(のうろう)などの病気を持った方なので、歯科医院を受診する時点で有病者なのですが、高血圧症や糖尿病など、いわゆる基礎疾患をお持ちになっている患者さんに対する歯科医療に対し、特に有病者歯科と呼んでいます。

 歯科は外科系に位置づけられる診療科です。抜歯などは典型的な外科処置ですが、むし歯の治療で歯の神経を取ったり、歯槽膿漏などの治療で歯石を取ったり、出血を伴う治療が歯科領域では非常に高く、これらを観血処置と呼び、外科治療に位置づけられています。出血を伴う処置の多くは局所麻酔薬を用います。

 局所麻酔薬には心臓などに作用する薬剤が含まれており、少なからず影響を与えます。また、数分で抜けてしまうような歯もあれば、1時間近くもかかる小手術もあり、外科的な刺激はその処置によりさまざまです。

 最近では歯周病と糖尿病や心疾患との関連が問題視され始めました。このように、基礎疾患を持った患者さんの歯科治療には注意が必要です。歯科治療を受ける際には、自己判断をせず、自分が今、何の病気を持っていて、どんな薬を飲んでいるか、必ず担当の先生に伝え、相談するようにしてください。

(県歯科医師会)