歯肉下がりむし歯に 薬や歯磨剤で進行抑える

 

 歯の根元に発生する根面う蝕はこのコーナーでも紹介されました。日本成人の寿命の延伸と歯の保有数が増加する中で、とくに高齢者では歯周病の進行に伴う歯肉退縮により露出した歯根がむし歯にかかりやすくなっています。

 根面う蝕は早期発見が難しく、通常治療が難しいです。要介護高齢者、認知症患者や口腔(こうくう)乾燥症患者などでは根面う蝕が多発し、歯科医療者を悩ませています。そのため、歯を削って詰めるだけではなく、まず薬物塗布によりむし歯の進行を抑える処置が推奨されています。

 専門的ケアとしては1970年代に歯科治療が満足に行えない低年齢児の「むし歯の進行止め」として、多くの小児をむし歯の痛みから救ったフッ化ジアンミン銀38%水溶液(商品名サホライド)が再び注目されています。
 本剤は半世紀前に日本で開発され、海外でも処置の簡便さと費用対効果が高く評価されています。ただ本剤はむし歯の部分を黒く着色させるという審美的問題があることを承知しておく必要があります。

 一方、ホームケアとしてはフッ化物配合歯磨剤とフッ化物配合洗口剤を毎日併用することが推奨されています。日本ではフッ化物イオン濃度1,450ppmFの歯磨剤と同225ppmFの洗口剤が薬店やスーパーなどで入手できます。詳しくは歯科医院でご確認ください。(県歯科医師会)