歯周病とインフルエンザ 適切な歯磨きで感染予防

 

 インフルエンザは例年、気温や湿度が低下する12~4月に流行し、1月末~3月上旬にピークを迎えますが、昨年度までは新型コロナウイルス感染症の流行による感染症予防対策の効果もあり、2020年以降の3シーズンで警戒レベルに達するような大きな流行はありませんでした。

 しかし本年度はすでに夏ごろから散発的に患者が報告され、23―24年シーズン第41週までの患者数はすでに、前年同期の450倍にもなっています。直近10シーズンのうち最も多い19―20年と比べても、10倍近く多い状況です。

 インフルエンザはウイルス感染によっておこる疾病です。インフルエンザウイルスはのどの粘膜(上気道粘膜)から体内に入り込みますが、のどの粘膜は普段、粘液に覆われて守られています。しかし、プラーク(歯垢(しこう))中の細菌が出す酵素によって粘液は溶かされ破壊されます。口の中のプラークは細菌の塊です。そして、その細菌が内毒素やたんぱく質分解酵素を出します。プラーク中の細菌が出す酵素によって粘液は溶かされ破壊されます。

 また、プラーク中の歯周病菌が出す内毒素は歯茎だけでなく気道粘膜も破壊し炎症を起こします。そうなるとインフルエンザウイルスが体内に侵入しやすくなってしまうのです。

 インフルエンザの予防として医科では、うがい、手洗い、睡眠、栄養、予防接種などですが、歯科ではもう一つあります。それは適切なブラッシングですので、かかりつけの歯科医院を受診して適切なブラッシング指導を受けてください。(県歯科医師会)