田村監督コラム〈20〉WALK TO THE DREAM サポーター

 

◆いわきFC・田村雄三監督

◆ともに選手育てる存在

 日に日にサポーターの応援が増している。それはホーム戦だけでなくアウェー戦でも。皆さんの大きな声援が選手を後押ししてくれている。とてもありがたく、感謝している。

 特に2週間に1度アウェー戦に行くというのは、それだけでも大変なこと。自分に置き換えて考えるとすごいことだと思う。その一方で、うらやましいくらいに遠征を楽しんでいる様子も見ている。楽しい空間をつくる一役を担うことができているならば、それはクラブにとっても良いことだ。

 チームがそうであるように、サポーターにも「いわきらしさ」があると思う。子どもたちがゴール裏で応援するような、誰でも来やすい雰囲気はその一つ。ホームで対戦したどのアウェーチームも「スタジアムの雰囲気が良い」と言ってくれている。間違いなくサポーターの皆さんのおかげだ。

 いわきのサポーターは優しくて温かい。クラブの理念に共感してくれていて、この地域に多くの人が来ることを喜んでいるようにも感じる。こうしたサポーターを見て、選手は「サッカークラブが地域に根付くとはどういうことか」をよく考えないといけない。結果を残すことはもちろん重要。加えてピッチ内外でどのように振る舞うべきかが問われている。

 2年前のコラムで「消極的なプレーにはブーイングしてくれて構わない」と書いたが、その考えは今も変わらない。サポーターの存在は選手を育てる。いわきらしくない逃げたプレーには、サポーターの皆さんも一緒に注文を付けてほしい。

 いわきは勝利を目指しながら、同時に若者の教育も行っているクラブだ。そんなクラブの選手を、地域の皆さんと手を取り合って一緒に育てていく。そんな良い環境を共につくっていきませんか。

 たむら・ゆうぞう 群馬県出身、中央大卒。2005年に湘南ベルマーレ入団。現役時代のポジションはMF。08年から選手会長を務めた。10年に引退後、湘南強化部を経て15年にいわきFC強化部入り。17~21年に監督を務め、今季途中から再び指揮を執る。40歳。