田村監督コラム〈21〉WALK TO THE DREAM J2残留

 

 ◆いわきFC・田村雄三監督

 ◆攻めた方が勝率は高い

 来季もJ2で戦えることとなった。村主(すぐり)博正前監督が残した良さを引き継ぎつつ「いわきらしさ」の積み上げを行うことで残留を勝ち取ることができた。ただ選手たちの持つ力を考えれば、残留は期待通りの活躍。監督交代に戸惑いもあっただろうが、選手は最後まで頑張ってくれた。

 目の前の試合には負けたくないし、J3へ降格もしたくない。それでも、残留だけを目標に見据えて戦いたくはなかった。具体的に言えば、引いて守りを固めるのではなく、より攻める中で勝利を目指した。

 守りを固めて勝ち点を積み上げる戦い方も、取ろうと思えば取ることはできた。特に前半戦の課題の一つは失点の多さだったため、理にはかなっている。でも攻めることが「いわきらしさ」。スタイルを貫くことと目の前の試合に勝つことのバランスは難しいが、基本的には攻めた方が勝率は高いと考えている。

 指導者としては選手の判断を尊重することを心がけてきた。例えミスになったとしても、最善と思って選んだプレーならば、その判断は受け入れないといけない。チームが攻撃的にプレーすれば、それだけミスが失点につながるリスクも高くなる。それでも選手は自ら判断しなければ成長できない。こうした積み重ねが勝利への近道だと思う。この方針に協力してくれたスタッフ陣には感謝している。

 クラブの資金力などを踏まえても、いわきが置かれている状況は甘くない。今後も、うまくいくときもあればうまくいかないこともあるだろう。でも上位に行けないとも思っていない。来季はより強いいわきを見せていきたい。

 毎試合のように増していったサポーターの応援は、選手の力になった。来季もサポーターの皆さんと一緒に良いシーズンを送りたい。

 たむら・ゆうぞう 群馬県出身、中央大卒。2005年に湘南ベルマーレ入団。現役時代のポジションはMF。10年に引退後、湘南強化部を経て15年にいわきFC強化部入り。17~21年に監督を務め、今季途中から再び指揮を執った。来季の続投も決まっている。40歳。