【常磐道】 "高い壁"それでも前へ 長期中断、被害を拡大

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【常磐道】 

長期間放置され、床部分の鉄筋が茶色にさびた羽黒川橋=10月、双葉町・常磐道

 東日本高速道路(ネクスコ東日本)は震災と原発事故で被災した常磐道について、通行できない広野−常磐富岡インターチェンジ(IC)間(延長17キロ)を2013(平成25)年度中に通行止めを解除、原発事故で建設を中断した浪江−南相馬IC間(延長18キロ)を14年度に開通、常磐富岡−浪江IC間(同14キロ)をその後1年以内での開通を目標に掲げる。

 ただ、震災や原発事故による被害は大きかった。特に原発事故で建設工事が中断し、今年4月に工事を再開した常磐富岡−浪江間では、原発事故で長期間立ち入りできなかったことが原因となる被害が目立つ。長期放置に伴い用水路、排水路の損傷が49カ所、斜面の浸食が87カ所に及ぶ。このうち、福島第1原発の西側5キロ地点の羽黒川橋(双葉町)は、橋の床部分の鉄筋組み立て中に被災。鉄筋は長期放置で茶色くさび、使用できない状態だった。現在はさびた鉄筋を取り外す作業が行われている。

 同社は常磐富岡−南相馬IC間の進行状況について「鉄筋がさびるまで工事を中断し、再開するのは初の試み。一部に帰還困難区域も含まれ、何割と表現するのは難しい」とした。

 実作業時間に制約 高線量が障害 

 大熊、双葉、浪江各町などの帰還困難区域がある常磐富岡−浪江IC間では、高い放射線量による実作業時間の制約などが大きな障害となっている。

 ネクスコ東日本の工事は通常、準備や片付け、休憩を除き7時間作業する。しかし帰還困難区域では、区域内への立ち入りが午前9時から午後4時までしかできないことや被ばく管理、汚染検査、移動に時間を費やし、実際の作業時間は4時間弱しかない。いわき工事事務所の真壁正宏所長は「作業効率の著しい低下が懸念される」とする。

 同区間は、高い場所で放射線量が毎時30マイクロシーベルトを超す現場もある。富岡町の富岡工業団地内に借りた工場を拠点に作業員の被ばく量管理などを行っている。作業現場の放射線量は、路面を削って舗装すれば現状の約9割低減できると見込む。しかし「高線量区域の作業」という風評などで作業員の確保、資機材の調達などが難しい状況だ。

 来春には、人手が必要な舗装工事が始まる予定で、作業員確保がさらに課題になる。真壁所長は「現在の70人から200人までに作業員を拡充したいが、現段階で見通しがつかない」と話す。

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