"10年分の仕事"一気に 資材高等と人手不足、契約不調

 

「復興住宅建設は、どの会社も重要視している」と話す陰山社長

 「資材価格が1カ月単位で上がっているのが現状。さらに平常時なら10年分の仕事を詰まった工期で行うのだから、当然、作業員不足になる」。郡山市喜久田町で復興公営住宅の建設を進める陰山建設(郡山市)の陰山正弘社長(38)は、復興住宅建設で相次ぐ契約不調に、多くの建設会社が抱える悩みを代弁する。

 各社とも「震災直後よりも忙しい」という状況の中、資材高騰が現場を直撃している。「半年で5〜10%程度上がった時もある」と陰山社長。現場から見れば、県の単価見直しが追い付かない状況になっている。

 また、複数の会社が工事に携わるが、「協力会社の一社でも人手が足りなくなれば、現場は担えない」と明かす。職人を県外から補うとすれば、宿泊費や交通費の負担も必要で、結果的に単価の上昇に拍車を掛け、県の予定価格を上回る見積もりにつながっていく。

 一方で民間への影響も懸念される。「予算規模から考えれば、建設費高騰の影響は民間の方が大きい」と指摘、「医療機関や私立学校、幼稚園など"準公共"の施設には補助や支援が必要ではないか」と提案する。

 建設会社にとって、震災からの復旧、復興のための工事は最大の「見せ場」。それだけに復興住宅建設の随意契約では、参加業者を絞り込むことも必要と考えている。「復興住宅は各社とも重要視していると思う。『ぜひ』と頼まれれば、利益を度外視してでも『ウチでやってやる』という気持ちのはず」。建設各社は、復興に向けた使命感と資材高騰、人手不足という現実のはざまでジレンマを抱えている。