「和牛価格」全国と同水準 子牛の出荷頭数、減少傾向が要因

 
震災直後に心配された風評被害だったが、和牛競りの取引価格は高値水準を維持している=1月13日、本宮市・県家畜市場

 全農県本部の和牛競りの取引価格が高値水準を維持している。2月競りの取引価格は、雌が72万9043円、去勢が80万8782円、平均で77万4817円を記録、価格は東日本大震災が起きた2011(平成23)年度と比較すると約2倍になり、震災直後は風評被害が心配されたが、県産和牛の取引価格は全国平均と同水準まで回復している。

 背景には繁殖農家の高齢化や原発事故による廃業で子牛の出荷頭数が減少傾向にあることが挙げられる。担当者によると「子牛の不足などで高値は当面続く見込み」と分析する。繁殖農家にとっては歓迎すべき高値相場が、子牛を買って肉牛に育てる肥育農家にとっては子牛の仕入れにかかる費用がかさみ、負担が大きくなるという側面もある。

 県畜産課によると、震災前に県内に4020戸あった肉牛農家は15年2月1日現在で2530戸に減少している。