『極上のコメ』届ける 収穫量全国5位、15年産米36万5400トン

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 本県は全国でも有数のコメの生産地で、震災前の2010(平成22)年産米の収穫量は全国4位の44万5700トンだった。一見して収穫量は落ち込んだままのようだが、コメの生産調整(減反)による影響で収穫量が減っているためで、15年産米の36万5400トンは全国5位の収穫量となった。

 本県は震災後、原発事故などの影響で作付けを制限、自粛する市町村分の作付けを、余力のある地域に任せる「地域間調整」で対応しているため、避難区域や津波被災地のある浜通りの収穫量は中通り、会津と比べ減少したままとなっている。

 農業産出額は全体的に回復傾向にあるが、県産のモモやキュウリなど競争力のある品種でも、市場の流通量が豊富なときは他県産よりも取引価格が低下するなど原発事故の風評は払拭(ふっしょく)しきれていない。14年の農業産出額は全国的なコメ余りによる記録的な米価下落が影響し、前年と比べ212億円少ない1837億円となった。

 湯川、納税者に贈りPR

 県内のコメ農家は、安全性のアピールだけでなく、こだわりのコメのおいしさそのものを追求して県産米ファンの獲得を目指している。

 会津盆地の中心に位置し、県内有数のコメどころとして知られる湯川村。2014(平成26)年から始まった「ふるさと納税」の寄付者にコメ1俵を贈る取り組みが人気を呼び、全国各地から申し込みが相次ぐなど福島の自然に育まれたコメのおいしさを全国にPRしている。

 「土がいいからいいコメができるんです」。同村の農家斎藤真助さん(42)は、同村勝常地区のコメ農家とともに通常出荷するコメのほかに、極上の味を追求したこだわりのブランド米「百姓食米」を販売している。牛ふん堆肥を使った豊かな土壌で育てたコメは通常よりも粒が大きく、つややかで食味が良いのが特徴。震災以降は、県の全量全袋検査のほかに、独自に検査を行い、結果が分かるQRコード付きのシールを商品に貼るなど安全面をアピールする。

 生産者一人一人がこだわりを持ってコメ作りをする一方、米価の下落や生産者の高齢化で離農者も増えている現状にある。法人化し、若手生産者を雇用して育成することで農業の担い手を増やし、地区内で手助けが必要な農家を手伝える仕組みにつなげることができないかと考えている。「震災で福島は良くも悪くも認識され、ふるさと納税は村のPRになった。農家もどうやったらコメ作りを維持していけるか考えている。言い訳しても駄目なんで」

 地道な検査続く

 東京電力福島第1原発事故を受け、本県産の農林水産物に対する放射性物質の厳格な検査体制が整備された。検査は生産者や自治体にとって負担となっている面もあるが「安全性を担保する重要な手段」(県関係者)として、風評払拭(ふっしょく)に向けた地道な検査は今後も続けられる見通しだ。

 本県産のコメは、2012年夏から各市町村が主体となり玄米の全量全袋検査を行っている。ベルトコンベヤー式の検査機器を使用し、出荷の有無にかかわらず全てのコメの放射性物質を測定。検査員は約1700人に上る。

 野菜や果物については、出荷・販売用を対象に放射性物質のサンプル検査を実施。国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える品目が出た場合は、生産された自治体を対象にその品目の出荷が制限される仕組みだ。