【相馬】整備進む「災害公営住宅」 避難者らが古里に戻る場所

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11日で丸5年を迎える。いまもなお避難生活が続く人もいる中で、5年の歳月は県民191万320人(2月1日現在)に、これからの福島について考え、行動するきっかけを提供した。生活再建や風評払拭(ふっしょく)、観光再生など、県内59市町村もそれぞれ復興に向けた取り組みを加速させ、次の一歩を踏み出そうとする県民を支えている。県内を8エリアに分けて特徴的な出来事を紹介する。

 避難者らが落ち着ける場所を求めて古里に戻る場所として復興・災害公営住宅の整備が進む。

 相馬市では昨年3月、市が整備する災害公営住宅が県内の沿岸市町村で初めて全戸完成、同8月には仮設住宅の解体・撤去が始まった。

 新地町でも町内8カ所に整備する災害公営住宅のうち、津波の被害を受けた新地駅前を除く7カ所がすでに完成。昨年11月には同町でも仮設住宅の撤去が始まった。両市町とも、復旧の前提となる住宅再建に一定のめどがついた形。

 南相馬市の居住者は昨年の国勢調査で5万7000人超(速報値)まで回復。災害公営住宅は建設中の7団地172戸が今月中に完成する見通しで、計画数9団地350戸全てが4月から利用可能になる。小高区を中心とした同市の避難指示区域では、同指示の解除後に住民が帰還できるよう、官民一体での環境整備が進む。昨年9月にはJR小高駅前に仮設店舗「東町エンガワ商店」が開店し、住民や作業員が利用している。国は避難区域の住宅周辺の除染を3月までに終えたい考え。

 飯舘村では、村が主体となって県道原町川俣線沿いの深谷地区に復興拠点施設を整備する。道の駅は2017(平成29)年3月の完成目標。太陽光発電施設は5月にも稼働を始める。このほか、花き栽培施設や復興公営住宅も整備する。生涯学習施設の交流センター(仮称)は今年中の完成を見込む。