【起き上がり小法師】〔いわき・アトリエnobuya〕地域根ざした店作り

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「行けば楽しみがある、と思ってもらえる店にしたい」と話す横田さん

 大熊町で約30年間、地域に親しまれた洋菓子店「菓子工房yokota」は2012(平成24)年12月、いわき市中央台で「アトリエnobuya」として再出発した。オーナーシェフ横田信行さん(58)は毎日忙しくお菓子作りに精を出し、「昔に戻った感じだ」と充実感をにじませる。

 横田さんは東京都出身。妻文子さん(58)の地元である同町に1号店、富岡町に2号店を構え、年中無休で営業してきた。こだわりは「今その時おいしいもの」。素材と鮮度を大切に、一つ一つのお菓子を丁寧に仕上げる。

 原発事故後の避難では、先行きの見通せない生活が続く中、お菓子作りも何もしない時間が苦痛だった。11年5月ごろから再開の道を模索し始め、融資を得るために各地を奔走。道具をそろえ直すために都内を巡ったり、新商品のアイデアを練ってはノートに書き留めた。オープンに合わせて発売した新商品は人気商品の一つになった。

 横田さんは「自分たちの代では町に帰れない。この店しかない」と思いを強くする。時間の経過につれて避難住民の生活拠点が離れ離れになる中、地域に根ざした店をどうやって再度作り上げるか、さらに後継者をどうするかなど課題はあるが、「『行けば楽しみがある』と思ってもらえる、喜ばれる店にしていきたい」とお菓子作りに没頭する。

 営業時間は午前9時から午後6時30分まで。水曜日定休。