【起き上がり小法師】〔いわき・マルマサ食品〕「仮設住宅の食」支える

 
店内の商品を整理する松本さん。仮設住宅の台所として、町民の暮らしを支えている

 双葉町民が避難するいわき市の同町南台応急仮設住宅で直売所「ふたばふれあい処」を営む。生鮮食品や加工食品などを取り扱い、仮設住宅の台所として、町民の食生活を支えている。

 1986(昭和61)年に同町で創業。97年に松本正道さん(52)が3代目社長に就任した。町ではスーパー「ブイチェーンマルマサ店」を経営していたが、震災と原発事故により一時休業。町民の生活を支えようと、2012年3月に同直売所を開店した。

 「お疲れさま」。来店した町民に従業員が声を掛ける。毎日のように顔を合わせる町民とは、家族のような距離感だ。現在の店の面積は、同町の店の半分ほど。扱う商品が少ない分を補おうと、町民が注文した総菜を作るサービスも始めた。

 間もなく開店から丸4年となるが、仮設住宅の入居者の退去に伴い、売り上げは開店当初の3分の1まで減少した。「つえをついてでも来てくれる町民の笑顔が支え」と松本さんは店を続ける理由を語る。

 松本さんは、店の運営を来年3月の開店5年目で一区切りと考えている。「他の場所で店を出すか、続けるかは検討中」。ただ、別な場所に出店するにしても資金面が課題。「帰町、帰村宣言した町村では、戻って再開する事業者が充実した助成を受けられると聞く。でも双葉町は帰町のめどすら立っていない。自分はそういった助成が受けられるのだろうか」。悩みながらも町民の生活を支えるため今日も営業を続ける。