「集まる機会つくってほしい」 コロナ禍で交流減、孤立感深める

 

 避難者の声からは、時間の経過で互いのつながりが薄まりつつある中、新型コロナウイルス感染拡大による交流活動の自粛が、孤立感を深めることに追い打ちをかけた実態が垣間見える。

 「新型コロナ禍で互いにやり取りが途絶えた分、どこか連絡が取りづらくなり、会う機会がめっきり少なくなってしまった」。三春町で暮らす葛尾村の70代男性は同郷の旧友たちとの交流が思うように進まなくなった現状を嘆く。

 男性は新型コロナの流行前まで、友人同士で定期的に集まるよう心がけ、杯を酌み交わしながら、互いの近況報告をするのが大きな楽しみだった。「葛尾での暮らしを懐かしんだり、愚痴をこぼしたりして、ストレス発散になっていた」。それが2020年春以降、感染を恐れて定例会を取りやめ、友人と電話で話す機会も減っていったという。

 男性は「新型コロナの流行が落ち着いてきたので、そろそろ再開したいが、新型コロナへの考え方はそれぞれ違うと思う。みんなに声をかけるのも大変」とため息をついた。

 いわき市で避難生活を送る富岡町の70代女性も「新型コロナ禍で疎遠になってしまった地元の人間関係をもう一度復活させなければいけない」と考える。ただ、高齢者にとってきっかけづくりには労力がかかるとして「行政が呼びかけて集まる機会をつくってくれると、ありがたい」と期待する。