「孤立対策」垣根越え連携 三春、避難者と町民集まれる場所を

 
避難者支援について意見を交わす佐藤さん(中央)=三春町

 「震災から時間がたち、高齢になった方、若い人が家を出て1人暮らしになった方など各世帯で変化している」。三春町社会福祉協議会で避難者地域支援コーディネーターを務める佐藤千春さんは現状を話す。

 町内には葛尾村の避難者らが入居する復興公営住宅があるほか、富岡や浪江、大熊、双葉各町などからの避難者が暮らしている。それぞれの生活が落ち着きつつある一方、引きこもりや孤立が進むのが課題だ。

 このため、三春町社協のコーディネーターは避難元各町村の社協と連携し、孤立防止などの対応に当たっている。避難元各町村の社協と佐藤さんらが5月末に開いた連携会議では、孤立する避難者への対応として訪問を拒否されるような場合も時間をかけながら、工夫して連絡を取る方法を共有した。

 三春町社協は本年度、復興公営住宅の団地内で野菜の移動販売を行う計画を立てている。

 近年は交流イベントやサロンといった企画が新型コロナウイルスの影響で自粛され、交流の場が失われており、避難者と町民が分け隔てなく集まれる場所をつくり出したい考えだ。

 佐藤さんは避難者と地域住民がなじむ機会を設けるような地域支援と、地域の輪になかなか入れない避難者への個別支援の必要性を実感する。だからこそ「避難者をサポートしつつ、理想は徐々に支援がなくても三春町でつながりを持ち、生活ができるようになることが大事だ」と語った。