「集会所に常駐」生の声拾う いわき、避難者交流へ新たな環境

 
新たな拠点で避難者地域支援コーディネーターとして活動する馬目さん(左)と阿部さん=いわき市

 双葉郡を中心に原発事故による多くの避難者を受け入れているいわき市では、市と双葉郡の社会福祉協議会が4月に合同の拠点「社協連携避難者支援センターいわき」を開設した。これまで社協ごとに分かれて活動していたが、拠点を1カ所にまとめたことで、各社協の垣根を越えて新たな環境で活動を始めた。

 市社会福祉センター内に構えた事務所では市社協と浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉各町の社協に所属する計7人の避難者地域支援コーディネーターが活動している。活動は火、水、木曜日の週3日。以前は月1回、各社協のコーディネーターが集まって避難者の状況を確認していたが、現在は常に話し合える体制が整った。

 富岡町社協の避難者地域支援コーディネーターを務める馬目美香子さん(57)は「他の社協の動きを常に確認でき、連携しやすくなった」と現状を語る。

 新型コロナウイルスの影響が続いた昨年度は、1人暮らしの孤立化を防ごうと3月に同市の下矢田団地の集会所を開放した。コーディネーターを常駐させ、避難者が団地間で交流できる場所をつくった。馬目さんは集会所を訪れた避難者に関し「訪問では聞けないような話を、涙を流しながら話していた。短い時間では聞けない話を聞くことができ、今後の活動につなげられる」と手応えを感じた。

 しかし、活動が進むにつれて課題も浮き彫りに。双葉町社協で避難者地域支援コーディネーターを担う阿部由利江さん(51)は「団地の中は入れ替わりも激しく、まだまだ若い人との交流もできていない」と話す。

 避難者の交流を図っていくためにも、団地内や地域との交流イベントなどを今後も開催していく予定で、阿部さんは「各行政区長にもお願いして、団地と地域が一体となって取り組んでいきたい」と力を込めた。