地場産米で独自の日本酒 双葉郡各町村、農業復興のシンボルへ

 

 双葉郡の各町村では農業復興のシンボルの一つとして、地場産米を使った日本酒造りに力を入れている。

 【広野町】町民有志の「広野町の地酒をつくる会」が2015年度から広野産コシヒカリを使った純米酒「奥州 日之出の松」を商品化している。酒蔵「会津錦」(喜多方市)に頼んで仕込んでいる。銘柄は、町内を流れる浅見川河口にかつてあった名木「日之出の松」にちなんで命名した。

 【楢葉町】町振興公社などでつくる「楢葉の酒づくりプロジェクト委員会」が2018年度から日本酒「楢葉の風」の純米大吟醸酒や特別純米酒などを販売している。木戸川の水で育てた楢葉産の酒造好適米「夢の香」を使い、姉妹都市にある白井酒造店(会津美里町)が醸造している。

 【富岡町】まちづくり会社「とみおかプラス」が2020年度から、純米大吟醸酒「富岡魂」を製品化している。復興へと歩み続ける町民の不屈の精神を商品名で表した。町内で営農を再開した渡辺伸さんが栽培した酒造好適米「福乃香」を使い、人気酒造(二本松市)が仕込んだ。

 【大熊町】おおくままちづくり公社が2020年度から純米吟醸酒「帰忘郷(きぼうきょう)」を生産している。農業者や避難先にある高橋庄作酒造店(会津若松市)と連携し、大熊産の酒造好適米「五百万石」から醸した。名前には「古里や絆を忘れない」との思いが込められた。

 【葛尾村】一般社団法人葛力創造舎が2020年度から純米吟醸酒「でれすけ」を造っている。原料には法人が村内で栽培した県オリジナル米「里山のつぶ」を使い、水も村産にこだわっだ。鈴木酒造店(浪江町)が醸造を担い、辛口と甘口の2種類をそろえる。