新課題「半島の防災」 交通寸断、救援滞る

 

 能登半島地震は、半島という地形的な特徴から、交通手段が限られた地域の被災が災害対応を困難にした。道路の寸断で関係機関などが入れない集落が相次ぎ、被害状況の把握や救援、物資搬入が著しく遅れた。能登半島全体が被災し、半島の自治体同士の支援も阻まれた。同じような地理条件は全国にあり、日本の災害対策に「半島の防災」という新たな課題を突き付けた。

 「道路が少なく、アクセスが限られている。全国の半島と比べて地滑りが起きやすい地域が多く、広く分散する小規模な集落が孤立しやすい」。金沢大の青木賢人准教授(自然地理学)が能登半島の特徴を挙げた。地震による海岸の隆起や津波、空港の被災で空や海からの救援が滞った。

 青木氏は「孤立を想定して備蓄を増やすなど、半島内で完結する計画を立てておくべきだった」と強調した。東京大の片田敏孝特任教授(災害社会工学)は「能登半島地震の被害把握のスピードは、東日本大震災と比べても格段に遅い」と指摘。「被災した場合を考え、国はプッシュ型支援で臨む必要がある。自治体も従来より長い想定の備蓄や対策の再検討が求められる」と話した。