設備工夫し無駄なく給水 若松市上下水道局

 
給水支援に当たる会津若松市上下水道局の給水車。市職員が持参した給水袋のほか、被災者が手にするペットボトルやポリタンクに水を入れて配った=七尾市

 被災者が日常生活を取り戻すために大きな壁となっているのが断水だ。本県からは日本水道協会県支部の依頼を受け、福島、会津若松、郡山、いわき、伊達の5市が輪番制で職員を派遣し、給水支援に取り組んだ。

 このうち会津若松市上下水道局は1月に2度、石川県七尾市に職員計9人を派遣した。「数リットルの水を重そうに持つ被災者を見て、水の重みを改めて感じた」。現地で給水支援に当たった伊藤裕康(ひろみち)さん(48)は話す。

 派遣期間は1回目が地震発生から1週間後となる1月8~11日、2回目が同22~29日。2・8トンが入る会津若松市の給水車に石川県内で水を入れ、体育館や学校へ計86トンを届けた。

 伊藤さんは1回目の活動に参加した。当初は会津から持参した給水袋に水を移して配っていたが、2日目に2600袋が尽きた。「被災者は水を入れる容器の確保に苦労していた。新品のポリタンクを持ってくる人もいた」と振り返る。

 市の給水車は阪神大震災を受けて配備され、現在運用しているのが3台目。過去の災害の教訓を生かし、配水管の凍結を防ぐヒーターのほか、ペットボトルのように口の小さい容器にも水を注げる細長いノズルなどを取り入れている。伊藤さんは「こうした設備のおかげで、石川で水を無駄にせずに済んだ」と評価した。

 被災地支援と並行して市上下水道局は地元の災害に備え、市内の対策も進めている。老朽化した水道管の更新に合わせ、つなぎ目が伸縮して衝撃を逃す「耐震管」を導入した。上水道施設課の湯田豊巳課長(58)は「災害が起きても市民に水を届けられるよう取り組んでいきたい」と力を込める。