能登地震に教訓生かす DMAT緊急避難に奮闘、県ふたば医療センター付属病院

 
雪が降る中、配られた水や食料などを手にする被災者=1月7日午前、石川県・七尾市役所

 複合災害で広域避難が長期化して多くの課題に直面した本県。能登半島地震での災害派遣医療チーム(DMAT)として石川県で活動した双葉郡の2次救急医療を担う県ふたば医療センター付属病院(富岡町)の谷川攻一院長(66)に、本県の経験や教訓が現場で生かされていたかを聞いた。

 谷川院長と看護師、薬剤師の計3人は能登総合病院(石川県七尾市)を拠点に1月7、8の両日、穴水町の避難所や老人ホームで健康状態を確認した。9日は断水と停電が続く七尾市の老人ホームの緊急避難のため、入所者の健康状態を確かめて搬送支援を行った。活動では9日の緊急避難が東日本大震災直後の本県と重なったという。谷川院長は「入所者約90人の多くが寝たきりで、中には酸素吸入が必要な人もいた。水も底を突き、非常に苦しい中で職員が奮闘していた。福島と同じ光景が広がっていた」と振り返った。

 本県では受け入れ先がないまま長時間の避難を強いた事態を招いたが、今回は「自衛隊員の看護師が付き添い、要介護度の高い人は介護車両で搬送した。人に応じて避難の調整ができていた」。

 各機関が災害関連死対策を早期から考えたことも変化の一つに挙げ「多くのDMATが災害関連死予防の役割を果たし、2次避難の在り方も計画的になっていた」と評価した。

 震災から間もなく13年。谷川院長は「過去の災害の経験や教訓を謙虚に学んで想像力をもって備える。自分ごととして考え、地域の特性を踏まえてしっかりと準備しておくことが重要だ」と語った。

240211shinsai024.jpg

DMATの活動を振り返る谷川院長