「進学率」就職を上回る 都市部避難、大学など通学圏内に

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「進学率」就職を上回る 都市部避難、大学など通学圏内に

 震災と原発事故に伴う生活基盤の変化や県内企業の被災など環境の変化は、4年を過ぎた今も子どもたちの進路に影響を与えている。避難先で授業をする県立高のサテライト校では、地元企業での職場体験などを受け入れていた「地域」が失われ、職業や進路選択に関する教育(キャリア教育)の新たな可能性について、福島大と連携した模索が続く。避難先で再開した双葉郡の中学校では、生徒や保護者の避難状況も踏まえた個別の進路指導など、きめ細かな対応に力を入れている。

 同大うつくしまふくしま未来支援センターは、震災前後の県内高校生の進路を比較する調査を行った。進学率の推移を表したのが【グラフ上】、就職率の推移が【グラフ下】。回収率は58%。

 サテライト校では、2010(平成22)年度の進学率44.80%、就職率45.42%に対し、13年度は進学率64.12%、就職率29.42%で、進学が増えた。地元企業とのつながりが薄まり希望する就職先が見つからなかったことや、都市部に避難したことで大学や専門学校が通学圏内になり選択肢が広がったことなどが背景にあるとみられる。

 サテライト校を除く高校では、10年度と13年度を比べて進学率がやや低下したものの、大きな変化はなかった。ただ、震災直後の混乱の中で十分に検討できないまま就職し、早期離職した人の再就職支援など、課題も指摘されている。

 中学校をみると、避難区域を抱える10市町村のうち、一部の休校がある浪江町を除いて9市町村が全校を再開した。ただ、別の校舎を含め地元で再開できたのは南相馬、川俣、川内の3市町村にとどまる。地元以外で再開した学校では、慣れない環境下で工夫しながら進路指導が行われている。

 子どもたちを取り巻く環境は大きく変化したが、双葉郡の県立中高一貫校ふたば未来学園高の4月開校や、被災の経験を海外に発信した同大と経済協力開発機構(OECD)の教育プログラム「OECD東北スクール」など、変化を前向きに捉えた取り組みも進んでいる。

 同大キャリア研究部門の五十嵐敦教授(職業心理学)は、子どもたちが職業や進路を選択する力を身に付けることについて「特別な取り組みだけではなく、震災で新たに発生した課題なのか、もともとの課題に拍車が掛かったものかを見極め、日常生活の中で自立と自律に向けて支援することが重要」と指摘する。

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 震災と原発事故に伴う環境変化の中で県内の子どもたちはたくましく成長し、進路をつかみ取っている。新たな可能性へ歩きだした子どもや支援者の思いと挑戦を追う。