【 放射線教育(7) 】 差別はねのける知識

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【 外遊びと発達(7) 】 差別はねのける知識

「福島で自信を持って生活していってほしい」と話す坪倉医師

 県内で取り組まれている放射線教育について、相馬地域などで内部被ばく検査に携わり、高校などを訪問して放射線の授業も行っている東大医科学研究所の坪倉正治医師(33)に聞いた。

 自信持って生活を

 --本県の子どもは放射線をどう受け止めているか。

 「高校で授業を行うと、『放射線のことなんてもう聞きたくない』という生徒がいる。ちゃんと理解しているならそれでいいのだが、実はこの4年間、生徒たちから寄せられる放射線に関する質問はほとんど変わっていない。一部には大きな不安を抱えたままの生徒もいる」

 --そうした生徒たちに、授業では何を教えるのか。

 「環境中にはもともと放射線があって、僕らだけが被ばくしているのではないということを伝えたり、原発事故で被ばくは増えたが、どの程度の増加なのかを測定結果や検査結果から説明したりする。子どもたちに最低限知ってほしいという基礎的な話をする。伝えたいのは、『ここで自信を持って生活していけるんですよ』ということだ」

 --自信を持ってもらうことが放射線教育の目的か。

 「将来、県外の人から『福島から来たの?』と差別的な目を向けられた際、それをはねのける強い子ならいいが、そういう見られ方をされて一歩引いてしまう子もいる。その場合、子どもが自ら、将来の可能性や未来の希望を閉ざしてしまうような事態が起こりうる。福島の放射線量の現状を踏まえれば、私は、放射線が直接DNA(遺伝子)を傷付ける脅威より、差別的な体験により子どもたちが被る脅威の方がよほど大きいと考える。放射線教育は現状では、外部からの誤った見方に対してしっかり説明できる知識を養い、自分自身のルーツやここでの生活を肯定的にとらえてもらうための情報を提供する教育であるべきだと思う」

 方向性は刻々変化

 --今後の教育の在り方は。

 「放射線から身を守るための安全教育を行うのか、宇宙で放射線が生まれたメカニズムなど科学的な話をするか、または医学の話をするか、放射線教育にはさまざまな方向性がある。どの方向で子どもたちに教えるべきか、それは多分、刻々と変化していくのだと思う」